共同相続登記と遺産分割による登記
相続人の間で遺産分割の話合いができなくても不動産については相続の登記をすることができます。それは亡くなった人のままになっていて第三者に売買等で名義変更されると大変面倒なことになります。
そのために遺産分割協議が整ってなくても相続の登記ができるようになっています。
そしてその登記には全員が揃って登記申請してもいいのですが、誰か一人ででも登記申請できますし、債権者等の利害関係者であっても登記申請することができます。
このような登記簿があります。どう読むのでしょうか
順位番号1…「前所有者」が平成2年10月13日に前所有者から売買で購入して、平成2年10月15日に自分の所有にするための登記をしました。
順位番号2…「相続大吉」が平成10年2月18日に前所有者の「前所有者」から売買で購入して、平成10年2月20日に自分の所有にするための登記をしました。
順位番号3…「相続大吉」が平成18年3月3日に亡くなります。「相続花子」が持分2分の1、「相続一郎」と「相続二郎」がそれぞれ持分2分の1で「売買」ではなく「相続」で所有することとなり、平成18年12月10日に登記しました。
亡くなったのは相続太郎です。相続太郎の妻は相続花子で法定相続分は2分の1、相続一郎と相続二郎はその二人の子で法定相続分はそれぞれ4分の1です。
遺産分割が整わなくてもこの登記は可能なのです。相続人の一人からの単独の申請であっても、各相続人について法定相続分を共有持分とする登記申請手続をすることが認められています。これは一人の申請であっても全ての相続人のためにする行為とされるからです。
この登記のためには、手続き書類としては戸籍謄本や住民票などが必要ですが、遺産分割協議書は必要ありません。この登記は遺産分割協議が成立していなくてもできます。
そして遺産分割協議がととのうと最後の登記が行われました。
順位番号4…平成20年1月26日に遺産分割協議が成立し遺産分割協議書がつくられました。
遺産分割協議書では「この不動産は相続花子が相続する」とありました。つまりこの不動産は相続花子が相続します。その遺産分割協議書を添付して平成20年2月15日に登記をしました。
さて登記の原因は「遺産分割」となっています。順位番号3の登記で「相続」により法定相続分により登記したのですが、「遺産分割」をすることによりすべての所有権が相続花子になることが確定したのです。
「相続一郎」と「相続二郎」の持分全部移転とあります。「相続一郎」と「相続二郎」の持分はそれぞれ4分の1ですから、その持分全部で2分の1になります。この2分の1を相続花子に移せば、相続花子がすべての持分を所有することになります。この登記では「相続一郎」と「相続二郎」の持分合計2分の1が「相続花子」に移ったことが分かります。
「相続花子」がどれだけの持分をもっているかは順位番号3にある持分2分の1と、順位番号4の持分2分の1とをあわせでもっていることになり、合計で100%を「相続花子」が有していることがあります。
相続人間で法定相続分による登記をしてから、あらためて遺産分割の登記をするとこのように二回の登記をすることになり、最初が「相続」登記、二回目が「遺産分割」登記になります。しかしこのように二回の登記をするのは少数派です。遺産分割をきめて遺産分割協議書を作成してからいきなり登記することの方がずっと多いはずです。さのときは以下の用になります。
法定相続分の登記がなく、順位番号3の登記で、「相続花子」に所有権移転登記がされています。注意いただきたいのはこの時は登記原因が「遺産分割」ではなく、「相続」になっているということです。そして「遺産分割」という言葉は全く出てきません。これが通常の遺産分割による相続登記です。
さてこの登記はどのような登記でしょうか。法定相続分の登記をせずにいきなり遺産分割の登記をした場合です。
遺産分割協議書には、「この不動産は相続花子が持分2分の1、相続一郎<が持分4分の1、R>4分の1、相続二郎が持分4分の1をそれぞれ相続する」というものです。
一番上の、遺産分割協議が成立しないで取り敢えず法定相続分で相続登記したのと全く同じになります。
このように法定相続分で登記された場合には、それが法定相続分により登記されたものなのか、そのように遺産分割協議が成立して登記されたものなのかが、登記の上からは分からなくなっています。
ずっと昔に相続が起ったままで、相続登記もなされていないというケースがよくあります。本来の申告期限から原則5年経っていれば、相続税の心配もなくに自由に遺産分割ができます。もしも相続税の課税洩れとしても、それはもう時効になっていますから。
そのために遺産分割協議が整ってなくても相続の登記ができるようになっています。
そしてその登記には全員が揃って登記申請してもいいのですが、誰か一人ででも登記申請できますし、債権者等の利害関係者であっても登記申請することができます。
登記事項証明書記載例1
【順位番号】 | 【登記の目的】 | 【受付年月日・受付番号】 | 【原 因】 | 【権利者その他の事項】 |
1 | 所有権移転 | 平成2年10月15日 第12345号 | 平成2年10月13日売買 | 所有者 前所有者 |
2 | 所有権移転 | 平成10年2月20日 第23456号 | 平成10年2月18日売買 | 所有者 相続大吉 |
3 | 所有権移転 | 平成18年12月10日 第34567号 | 平成18年10月3日 相続 | 共有者 持分2分の1 相続花子 4分の1 相続一郎 4分の1 相続二郎 |
このような登記簿があります。どう読むのでしょうか
順位番号1…「前所有者」が平成2年10月13日に前所有者から売買で購入して、平成2年10月15日に自分の所有にするための登記をしました。
順位番号2…「相続大吉」が平成10年2月18日に前所有者の「前所有者」から売買で購入して、平成10年2月20日に自分の所有にするための登記をしました。
順位番号3…「相続大吉」が平成18年3月3日に亡くなります。「相続花子」が持分2分の1、「相続一郎」と「相続二郎」がそれぞれ持分2分の1で「売買」ではなく「相続」で所有することとなり、平成18年12月10日に登記しました。
亡くなったのは相続太郎です。相続太郎の妻は相続花子で法定相続分は2分の1、相続一郎と相続二郎はその二人の子で法定相続分はそれぞれ4分の1です。
遺産分割が整わなくてもこの登記は可能なのです。相続人の一人からの単独の申請であっても、各相続人について法定相続分を共有持分とする登記申請手続をすることが認められています。これは一人の申請であっても全ての相続人のためにする行為とされるからです。
この登記のためには、手続き書類としては戸籍謄本や住民票などが必要ですが、遺産分割協議書は必要ありません。この登記は遺産分割協議が成立していなくてもできます。
>登記事項証明書記載例2
【順位番号】 | 【登記の目的】 | 【受付年月日・受付番号】 | 【原 因】 | 【権利者その他の事項】 |
1 | 所有権移転 | 平成2年10月15日 第12345号 | 平成2年10月13日売買 | 所有者 前所有者 |
2 | 所有権移転 | 平成10年2月20日 第23456号 | 平成10年2月18日売買 | 所有者 相続大吉 |
3 | 所有権移転 | 平成18年12月10日 第34567号 | 平成18年10月3日 相続 | 共有者 持分2分の1 相続花子 4分の1 相続一郎 4分の1 相続二郎 |
4 | 相続一郎、相続二郎持分全部移転 | 平成20年2月15日 第4567号 | 平成20年1月26日遺産分割 | 所有者 持分2分の1 相続花子 |
そして遺産分割協議がととのうと最後の登記が行われました。
順位番号4…平成20年1月26日に遺産分割協議が成立し遺産分割協議書がつくられました。
遺産分割協議書では「この不動産は相続花子が相続する」とありました。つまりこの不動産は相続花子が相続します。その遺産分割協議書を添付して平成20年2月15日に登記をしました。
さて登記の原因は「遺産分割」となっています。順位番号3の登記で「相続」により法定相続分により登記したのですが、「遺産分割」をすることによりすべての所有権が相続花子になることが確定したのです。
「相続一郎」と「相続二郎」の持分全部移転とあります。「相続一郎」と「相続二郎」の持分はそれぞれ4分の1ですから、その持分全部で2分の1になります。この2分の1を相続花子に移せば、相続花子がすべての持分を所有することになります。この登記では「相続一郎」と「相続二郎」の持分合計2分の1が「相続花子」に移ったことが分かります。
「相続花子」がどれだけの持分をもっているかは順位番号3にある持分2分の1と、順位番号4の持分2分の1とをあわせでもっていることになり、合計で100%を「相続花子」が有していることがあります。
相続人間で法定相続分による登記をしてから、あらためて遺産分割の登記をするとこのように二回の登記をすることになり、最初が「相続」登記、二回目が「遺産分割」登記になります。しかしこのように二回の登記をするのは少数派です。遺産分割をきめて遺産分割協議書を作成してからいきなり登記することの方がずっと多いはずです。さのときは以下の用になります。
登記事項証明書記載例3
【順位番号】 | 【登記の目的】 | 【受付年月日・受付番号】 | 【原 因】 | 【権利者その他の事項】 |
1 | 所有権移転 | 平成2年10月15日 第12345号 | 平成2年10月13日売買 | 所有者 前所有者 |
2 | 所有権移転 | 平成10年2月20日 第23456号 | 平成10年2月18日売買 | 所有者 相続大吉 |
3 | 所有権移転 | 平成20年2月15日 第45678号 | 平成18年10月3日 相続 | 所有者 相続花子 |
法定相続分の登記がなく、順位番号3の登記で、「相続花子」に所有権移転登記がされています。注意いただきたいのはこの時は登記原因が「遺産分割」ではなく、「相続」になっているということです。そして「遺産分割」という言葉は全く出てきません。これが通常の遺産分割による相続登記です。
登記事項証明書記載例4
【順位番号】 | 【登記の目的】 | 【受付年月日・受付番号】 | 【原 因】 | 【権利者その他の事項】 |
1 | 所有権移転 | 平成2年10月15日 第12345号 | 平成2年10月13日売買 | 所有者 前所有者 |
2 | 所有権移転 | 平成10年2月20日 第23456号 | 平成10年2月18日売買 | 所有者 相続大吉 |
3 | 所有権移転 | 平成20年12月10日 第34567号 | 平成18年10月3日 相続 | 共有者 持分2分の1 相続花子 4分の1 相続一郎 4分の1 相続二郎 |
さてこの登記はどのような登記でしょうか。法定相続分の登記をせずにいきなり遺産分割の登記をした場合です。
遺産分割協議書には、「この不動産は相続花子が持分2分の1、相続一郎<が持分4分の1、R>4分の1、相続二郎が持分4分の1をそれぞれ相続する」というものです。
一番上の、遺産分割協議が成立しないで取り敢えず法定相続分で相続登記したのと全く同じになります。
このように法定相続分で登記された場合には、それが法定相続分により登記されたものなのか、そのように遺産分割協議が成立して登記されたものなのかが、登記の上からは分からなくなっています。
ずっと昔に相続が起ったままで、相続登記もなされていないというケースがよくあります。本来の申告期限から原則5年経っていれば、相続税の心配もなくに自由に遺産分割ができます。もしも相続税の課税洩れとしても、それはもう時効になっていますから。