借金は法定相続分で分配!
遺産分割協議では、借金を誰が引き継ぐかは自由になりません。法定相続分により平等に引き継ぐのが原則です。
でも銀行等の金融機関は、たとえば「資力のある長男に引き継いでほしい」と言ってきます。しかし強制力などありません。その要望に従う義務などありません。
それを逆手に取って金融機関と交渉するチャンスでもあります。
債務の相続
借金も財産です。遺産に《金銭債務》があった場合、相続開始と同時に、相続分に応じて分割されます。‥‥
しかし、誰か一人が債務の全てを引き継ぐことを債権者が承諾すれば、その一人が引き継ぎます。‥‥
遺産分割協議
親が死亡して、三人の子が相続人である場合…この三人は、『遺産分割協議』によって財産の分け方を決めます。預金等の可分債権を『遺産分割協議』で分けない場合は、法定相続分で分割されます。借金が多ければ、相続放棄や限定承認も可能です。
さて、『遺産分割協議』で…銀行の借入金9,000万円を、次男が引き継ぐことになりました。しかし銀行は、難色を示します。親の全財産を勘案して貸した銀行としては…次男の返済能力に対し、《OK!》と言う、義務も勇気もありません。
『遺産分割協議』で相続分と異なる分割が行われても、第三者に対しては、そのことを主張できないのです。
債務三兄弟
また、債権者が好きなことを言う権利もありません。銀行が…〈次男と三男は返済能力が無さそうだから、財産も仕事も有る長男に返済して欲しい〉‥と主張しても、長男が従う義務はありません。
借入金等、債務の引き継ぎについては…『遺産分割協議』や債権者の希望にかかわらず、法定相続分で行われるのが原則です。相続人が兄弟三人で、借入金が9,000万円ならば…三人平等に、一人あたり3,000万円になります。
長男だけに返済能力があるとして…次男と三男が返済不能になっても、長男は、自分の分の3,000万円だけ返済すればOKです。自分の負担分以外は、《他人の借金》ですから。銀行は、次男と三男分について、それぞれに返済請求をします。
協議と提案
『遺産分割協議』の結果、長男があらかたの財産を相続して、次男と三男の相続分が僅かである場合…銀行は、さぞや慌てることでしょう。そして、9,000万円の借入金について、様々な提案を試みます。
‥‥〈9,000万円全額を長男が単独で引受け(『免責的債務引受』)、次男と三男は長男の連帯保証人になって欲しい〉‥‥
‥‥〈次男と三男が3,000万円ずつ引受けるなら、長男はそれぞれの保証人になって欲しい〉‥‥
‥‥〈次男と三男が3,000万円ずつ引受けるなら、その分について、長男も連名のように重ねて引受けて欲しい(『重畳的債務引受』)〉‥‥
担保と保証で安心
これらを三兄弟がことごとく断ると、銀行は、途方に暮れるでしょう。〈次男と三男が財産を僅かしか相続しないのは、銀行に対する詐害行為だ〜〉‥と、法的手段に訴えるかもしれません。
しかし、ちゃんとした(?)銀行であれば…親の土地に抵当権を設定したり、親の生前から長男を連帯保証人にしたり、保証協会の制度保証を取っていたりするはずです。長男が保証人になっていれば、長男が、《他人の借金》も返済することになります。
借入金の担保が十分であるか、保証人が長男であれば、法的な問題には発展しないでしょう。
保証債務に注意
《保証》も相続します。相続人は、保証債務について、相続分に応じた弁済の義務を負います。‥‥
契約上の義務等も《債務》ですが、金銭債権と異なり、相続分に応じて分割するとは限りません。‥‥
でも銀行等の金融機関は、たとえば「資力のある長男に引き継いでほしい」と言ってきます。しかし強制力などありません。その要望に従う義務などありません。
それを逆手に取って金融機関と交渉するチャンスでもあります。
債務の相続
借金も財産です。遺産に《金銭債務》があった場合、相続開始と同時に、相続分に応じて分割されます。‥‥
〈被相続人の金銭債務その他可分債務は、数人の遺産相続人において平等の割合をもって承継する〉‥‥大審院・昭和5年12月4日決定
しかし、誰か一人が債務の全てを引き継ぐことを債権者が承諾すれば、その一人が引き継ぎます。‥‥
〈遺産分割の対象となるものは被相続人の有していた積極財産だけであり、被相続人の負担していた消極財産たる金銭債務は相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然分割承継されるものであり、遺産分割によって分配せられるものではない〉‥‥東京高裁・昭和37年4月13日決定
遺産分割協議
親が死亡して、三人の子が相続人である場合…この三人は、『遺産分割協議』によって財産の分け方を決めます。預金等の可分債権を『遺産分割協議』で分けない場合は、法定相続分で分割されます。借金が多ければ、相続放棄や限定承認も可能です。
さて、『遺産分割協議』で…銀行の借入金9,000万円を、次男が引き継ぐことになりました。しかし銀行は、難色を示します。親の全財産を勘案して貸した銀行としては…次男の返済能力に対し、《OK!》と言う、義務も勇気もありません。
『遺産分割協議』で相続分と異なる分割が行われても、第三者に対しては、そのことを主張できないのです。
債務三兄弟
また、債権者が好きなことを言う権利もありません。銀行が…〈次男と三男は返済能力が無さそうだから、財産も仕事も有る長男に返済して欲しい〉‥と主張しても、長男が従う義務はありません。
借入金等、債務の引き継ぎについては…『遺産分割協議』や債権者の希望にかかわらず、法定相続分で行われるのが原則です。相続人が兄弟三人で、借入金が9,000万円ならば…三人平等に、一人あたり3,000万円になります。
長男だけに返済能力があるとして…次男と三男が返済不能になっても、長男は、自分の分の3,000万円だけ返済すればOKです。自分の負担分以外は、《他人の借金》ですから。銀行は、次男と三男分について、それぞれに返済請求をします。
協議と提案
『遺産分割協議』の結果、長男があらかたの財産を相続して、次男と三男の相続分が僅かである場合…銀行は、さぞや慌てることでしょう。そして、9,000万円の借入金について、様々な提案を試みます。
‥‥〈9,000万円全額を長男が単独で引受け(『免責的債務引受』)、次男と三男は長男の連帯保証人になって欲しい〉‥‥
‥‥〈次男と三男が3,000万円ずつ引受けるなら、長男はそれぞれの保証人になって欲しい〉‥‥
‥‥〈次男と三男が3,000万円ずつ引受けるなら、その分について、長男も連名のように重ねて引受けて欲しい(『重畳的債務引受』)〉‥‥
担保と保証で安心
これらを三兄弟がことごとく断ると、銀行は、途方に暮れるでしょう。〈次男と三男が財産を僅かしか相続しないのは、銀行に対する詐害行為だ〜〉‥と、法的手段に訴えるかもしれません。
しかし、ちゃんとした(?)銀行であれば…親の土地に抵当権を設定したり、親の生前から長男を連帯保証人にしたり、保証協会の制度保証を取っていたりするはずです。長男が保証人になっていれば、長男が、《他人の借金》も返済することになります。
借入金の担保が十分であるか、保証人が長男であれば、法的な問題には発展しないでしょう。
保証債務に注意
《保証》も相続します。相続人は、保証債務について、相続分に応じた弁済の義務を負います。‥‥
〈連帯債務者の1人が死亡しその相続人が数人ある場合、相続人らは被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解すべきである〉‥‥最高裁判決・昭和34年6月19日
契約上の義務等も《債務》ですが、金銭債権と異なり、相続分に応じて分割するとは限りません。‥‥
〈被相続人が第三者所有の不動産を取得して相手方に譲渡すべき義務を負担する場合に、相手方は数人の遺産相続人の1人に対し当該義務の全部の履行を請求することができる〉‥‥大審院・昭和10年11月22日判決