嫁の相続権

嫁は相続人ではなく、亡くなった人の子の配偶者です。相続の権利はありません。

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嫁は相続人でない。養子縁組か遺言を。


嫁いで、夫の親の戸籍に入って夫の姓になったとしても、相続人にはなりません。相続は、戸籍や姓には関係ないのです。嫁に行ったとか、嫁に来たというのは、相続とは関係ないのです。

嫁は相続人ではありません。単に亡くなった人の子の配偶者です。嫁には財産上の権利はありません。

夫はすでに亡くなり、子もなく、夫の親(義父や義母)の介護をしてきた嫁。この嫁は相続人ではありません。その住まいが義父や義母の名義だったならば大変です。

義父や義母の子が、夫以外にいたとすれば、相続人はその子になります。子はいなくとも義父や義母に兄弟がいれば、その兄弟やその兄弟の子が相続人になります。嫁としてそんな相続人には面識がないことも多いでしょう。

そしてこの住まいの名義は、遺産分割によりその相続人のものになってしまいます。義父や義母の預金だって、相続人のものです。嫁は相続上では他人ですから、手を触れるわけにはいけません。

相続人がいなければ特別縁故者として財産分与を受ける可能性はあります。特別縁故者とは「被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者」であり、家庭裁判所の判断では相続財産の全部又は一部を与えることができます。ただし、特別縁故者が財産分与を受けるのは相続人が存在しないときに限られますから、相続人がいれば可能性はありません。



また夫が、親の商売を継いで、その親と同居して商売もして、家計をまかなって、親の面倒を見てきた場合。狭い店舗兼住宅は親ばかりでなく夫婦の地と汗の結晶です。でも名義は親になっています。この場合で嫁に相続権が無いのは同じです。夫は相続人です。

夫の兄弟が5人いたとしましょう。遺産分割協議で他の兄弟が「私はいいよ」といってくれれば、その血と汗の結晶の店舗兼住宅は夫のものになるでしよう。

ところが他の兄弟との折り合いが悪く調停等になれば法定相続分5分の1づつです。夫が、親の事業に貢献し財産を維持増加に貢献し、また介護援助を長年続けたとして、親の財産に寄与したとして、寄与分として相続する部分を増やしてもらえるかもしれませんが、寄与分として認められるのはわずかです。

他に財産が無いのだからその血と汗の結晶を売って、兄弟5人で分けるしかありません。一番苦労したのは、夫と嫁のはずなのに、嫁は相続の当事者ではないのですから、その遺産分割協議に口を挟んだりすることもできないのです。


このように嫁いでからの苦労や努力は、相続において認められないのです。相続において「嫁」とはそういう立場なのです。なお嫁いでも実家の親の相続人の立場はそのままです。


親の立場から言えば、「息子と二人でよくがんばってくれた」「息子が死んだ後もよく面倒見てくれた」だから、相続させたい、と思うのならば、嫁を養子にするか、あるいは嫁に対して遺言書を書いておかないといけません。
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